不動産用語集

あ行

空き家・空き地バンク・空き家バンク

空き家・空き地の物件情報が登録され、検索できる情報システム。地方自治体が運営していることが多い。

空き家・空き地バンクは、不動産需給のミスマッチの解消、不動産の有効活用の促進などに資すると考えられている。しかしながら、バンクごとに掲載項目が異なること、検索や比較がしづらいなどの課題があるため、それらを統合した全国版空き家・空き地バンクが構築されている。

頭金

購入代金を分割して支払うときに最初に支払う代金。通常、商品引き渡しの際に支払われる。頭金は、以後支払う分割代金よりも多額であることが多い。

たとえば住宅ローンを利用する場合には、購入代金を金融機関から借り入れて販売者に一括して支払ったうえで、借入金を金融機関に分割返済することとなる。この場合に、通常、購入金額のすべてを住宅ローンの対象とすることはできず、代金の一部は自己資金で支払わなければならない。この住宅購入時に住宅ローンを充てることなく自己資金で支払う代金が「頭金」である。

か行

建築基準法

国民の生命・健康・財産の保護のため、建築物敷地・設備・構造・用途についてその最低の基準を定めた法律。市街地建築物法(1919(大正8)年制定)に代わって1950(昭和25)年に制定され、建築に関する一般法であるとともに、都市計画法と連係して都市計画の基本を定める役割を担う。

遵守すべき基準として、個々の建築物の構造基準(単体規定、具体的な技術基準は政省令等で詳細に定められている)と、都市計画とリンクしながら、都市計画区域内の建物用途、建ぺい率容積率、建物の高さなどを規制する基準(集団規定)とが定められている。また、これらの基準を適用しその遵守を確保するため、建築主事等が建築計画の法令適合性を確認する仕組み(建築確認)や違反建築物等を取り締まるための制度などが規定されている。

その法律的な性格の特徴は、警察的な機能を担うことであり、建築基準法による規制を「建築警察」ということがある。

建築基準法22条指定区域

建物の屋根を不燃材料で造り、または葺かなければならない区域。延焼防止のために、特定行政庁が、防火地域準防火地域以外の市街地について指定する。「屋根不燃化区域」ともいう。建築基準法に基づく制限である。

不燃材料は、加熱開始後20分以上のあいだ、燃焼しない、防火上有害な変型・溶融・き裂その他の損傷を生じない、避難上有害な煙・ガスを発生しないという要件を満たす材料で、コンクリート、繊維強化セメント板、金属板などである。

なお、防火地域・準防火地域についても、別途の規定に基づき、法22条区域と同様の制限が適用される。また、法22条区域のほか、木造建築物等の外壁で延焼のおそれのある部分を準防火性能(周囲で発生する火災の延焼抑制に一定の効果を発揮するために必要とされる外壁性能)を備えた構造としなければならない区域(法23条区域)があるが、一般に、法22条区域と法23条区域は同一の区域が指定されている。

さ行

敷金

建物の借主が、賃料その他賃貸借契約上の債務を担保するため、貸主に交付する金銭をいう。
敷金は、契約が終了した場合に、未払賃料等があればこれを控除したうえで借主に対して退去後に返還される。

た行

仲介手数料

宅地建物取引業者を通して不動産を売ったり買ったり、あるいは貸したり借りたりする場合に、媒介契約にもとづき、宅地建物取引業者に成功報酬として支払うお金のこと。
媒介手数料(媒介報酬)ともいう。

定期借家契約

平成12年3月1日の改正法施行により、借家契約時に貸主が「期間の満了により契約が終了する」ことを借家人に対して、公正証書などの書面を交付して説明する場合には、賃貸期間が終了すると借家契約も終了し、借家人は退去しなければならないとする契約。
原則として契約の更新はできず、再契約には貸し主・借家人双方の合意が必要である。

な行

内覧

一般の人への公開に先立って、限定した人々に非公式に披露すること。

展覧会やイベントにおいて行なわれる場合が多いが、販売予定のマンション等を、あらかじめ登録した者などの見学に供することも内覧である。     

不動産物件を実地に見学・調査することという「内見」とはほぼ同じ意味で使われている。

は行

犯罪による収益の移転防止に関する法律

マネー・ロンダリング(money laundering、資金洗浄[犯罪による収益を隠蔽・移転する行為])を防止するための法律で、金融機関等の本人確認、取引記録保存、疑わしい取引の届出等の義務などを定めている。

2007(平成19)年に公布、翌年全面的に施行されたが、従来のマネー・ローンダリング対策を強化すべく、本人確認等を義務付ける「特定事業者」の対象を、金融機関のほか、非金融業者(不動産・貴金属・宝石等取扱業者等)、職業的専門家(法律家・会計士等)に拡大するなどの措置が定められた。

この法律によって、宅地建物取引業者も同法の特定事業者とされ、一定の取引について本人確認等の義務を負うこととなった。

媒介契約書

宅地建物取引業者は、媒介契約を締結したときは、遅滞なく、一定の事項を記載した書面を作成し、宅地建物取引業者がその書面に記名押印し、依頼者(売主買主)にその書面を交付しなければならない。
このとき交付される書面のことを「媒介契約書」と呼んでいる(宅地建物取引業法第34条の2第1項)。

また、媒介契約書に記載されるべき事項は詳細に法定されている。

媒介報酬

宅地建物取引業者の媒介により、売買・交換・貸借が成立した場合に、宅地建物取引業者が媒介契約に基づき、依頼者から受け取ることができる報酬のこと。

この報酬の額は、媒介契約または代理契約に基づき、依頼者と宅地建物取引業者の間で約定されるものである。
またこの報酬の額の上限は、宅地建物取引業法により国土交通大臣が告示で定めるものとされており、宅地建物取引業者はその告示の規定を超えて、報酬を受けてはならないという制限がある。

このような宅地建物取引業法の規定を受けて建設省告示「宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額を定める件」(いわゆる報酬告示)が定められている。

報酬額の制限の概要は次の通りである。

1.報酬が発生する場合
宅地建物取引業者の媒介または代理により、売買・交換・貸借が成立した場合に、宅地建物取引業者は依頼者に報酬を請求することができる。しかし、宅地建物取引業者自らが売主または貸主として売買・交換・貸借が成立した場合には、その売主または貸主である宅地建物取引業者は取引当事者の立場にあるので、買主または借主に報酬を請求することはできない。
また、この報酬は成功報酬と解釈されており、原則として売買・交換・貸借が媒介または代理により成立した場合にのみ報酬請求権が発生するとされている(標準媒介契約約款の規定等による)。

2.売買の媒介における報酬額の上限
売買の媒介の場合に、宅地建物取引業者が依頼者の一方から受けることができる報酬額の上限は、報酬に係る消費税相当額を含めた総額で、次の通りである(報酬告示第二)。

1)売買に係る代金の価額(ただし建物に係る消費税額を除外する)のうち200万円以下の部分について…5%+これに対する消費税額
2)200万円を超え400万円以下の部分について…4%+これに対する消費税額
3)400万円を超える部分について…3%+これに対する消費税額

例えば、売買に係る代金の価額(建物に係る消費税額を除外)が1,000万円の場合には、200万円の5%、200万円の4%、600万円の3%に、それぞれに対する消費税額を加えた額が依頼者の一方から受ける報酬額の上限となる(ただし、この額には報酬に係る消費税相当額を含む)。

3.交換の媒介における報酬額の上限
交換の媒介の場合には、交換する宅地建物の価額に差があるときは、いずれか高い方を「交換に係る宅地建物の価額(ただし、建物に係る消費税額を除外する)」とする(報酬告示第二)。

例えば、A社がX氏と媒介契約を結んでX氏所有の800万円(消費税額を除外後)の宅地建物を媒介し、B社がY氏と媒介契約を結んでY氏所有の1,000万円(消費税額を除外後)の宅地建物を媒介して交換が成立したとすれば、A社の報酬額の上限は800万円でなく、1,000万円をもとに計算する。(ただし、この額には報酬に係る消費税相当額を含む)。

4.貸借の媒介の場合
宅地または建物の貸借の媒介において、宅地建物取引業者が依頼者双方から受けることのできる報酬の上限は、合計で借賃(借賃に係る消費税額を除外する)の1月分+これに対する消費税額である(この額には報酬に係る消費税相当額を含む)。ただし、居住の用に供する建物の賃貸借については、依頼者の一方から受け取ることのできる報酬は、媒介依頼の際に当該依頼者の承諾を得ている場合を除いて、借賃の1月分の0.5倍+これに対する消費税額以内でなければならない(報酬告示第四)。

なお、宅地または非居住用の建物(店舗・事務所など)の賃貸借において、権利金が授受されるときは、その権利金の額を上記2.の「売買に係る代金の額」とみなして、売買の媒介の場合と同様に報酬額の上限を算出することが可能である(報酬告示第六)。

5.代理の場合
売買・交換・貸借の代理において、宅地建物取引業者が依頼者の一方から受けることのできる報酬額の上限は、上記2.3.の2倍である(報酬告示第三)。また、賃借の代理においては、一方から受け取ることのできる報酬額の上限は借賃の1月分+これに対する消費税額であり、取引の他方からも媒介等の報酬を得る場合には、両者からの報酬の合計額はこの額を超えてはならない(報酬告示第五)。

なお、双方代理は、民法で原則として禁止されていることに注意が必要である。

6 低廉な空家等の売買・交換に関する特例
代金の額が400万円以下の宅地建物であって、通常の媒介・代理と比較して現地調査等の費用を要するもの(低廉な空家等)の取引の媒介・代理に当たっては、依頼者たる売主または交換を行う者から受ける報酬について、当該現地調査等に要する費用を加えることができる。ただし、現地調査等に要する費用を加えた合計報酬額は、18万円+これに対する消費税額を超えてはならない。(報酬告示第七・第八)

7 複数の宅地建物取引業者の関与
複数の宅地建物取引業者が一個の売買等の媒介・代理に関与する場合には、報酬額の上限の規定は、それらの業者の受ける報酬額の合計額について適用する。

8 特別の依頼に係る広告費用
宅地建物の売買・交換・貸借の媒介・代理に関しては、上記の1〜7によるほか報酬を受け取ってはならないが、依頼者が特別に依頼した広告の料金に相当する額については、この限りではない。(報酬告示第九)

売買契約

当事者の一方が、ある財産権を相手方に移転する意思を表示し、相手方がその代金を支払う意思を表示し、双方の意思が合致することで成立する契約のこと(民法第555条)。

売買契約は諾成契約とされている。つまり、当事者の双方が意思を表示し、意思が合致するだけで成立する(財産が引き渡されたときに成立するのではない)。
また、売買契約は不要式契約なので、書面による必要はなく口頭でも成立する。
さらに、売買契約は財産権を移転する契約であるが、その対価として交付されるのは金銭でなければならない(金銭以外の物を対価として交付すると「交換契約」となってしまう)。

当事者の双方の意思の合致により売買契約が成立したとき、売主には「財産権移転義務」が発生し、買主には「代金支払義務」が発生する。両方の義務の履行は「同時履行の関係」に立つとされる。

ま行

埋蔵文化財

埋蔵文化財とは「土地に埋蔵されている文化財」のことである(文化財保護法第92条)。
例えば、石器・土器などの遺物や、貝塚・古墳・住居跡などの遺跡であって、土中に埋もれているものがこれに該当する。

埋蔵文化財については、周知の埋蔵文化財包蔵地を土木工事等のため発掘する場合には文化庁長官に対して事前の届出が義務付けられている(同法第93条)。

また、国・都道府県・市町村は、周知の埋蔵文化財包蔵地について、その周知徹底を図るため、遺跡地図遺跡台帳の整備などに努めている。

なお、出土品の出土等により、土地の所有者・占有者が、貝塚・古墳・住居跡などの遺跡と認められるものを発見した場合には、その現状を変更することなく、遅滞なく文化庁長官に対して届出を行なわなければならないとされている(同法第96条)。

抹消登記

登記の記載を抹消する登記のこと。
抹消登記を申請するためには、その抹消によって登記上利害関係を有する者がいる場合にはその者の承諾(その者の承諾が得られない場合には承諾に代わる裁判の謄本)が必要である。

や行

家賃債務保証

住宅の賃貸借契約に当たって、家賃債務を担保するために求められる保証をいう。

連帯保証人を立てる方法が一般的であるが、それに代わって、家賃滞納の場合に一時的に立替え払いするサービス(家賃債務保証サービス)が活用されることもある。

家賃債務保証サービスは、

1.借主が、保証会社に保証料を支払ったうえで債務保証を委託し、
2.保証会社は、貸主と家賃債務を保証する契約を締結し、
3.家賃滞納が発生した場合には、保証会社が貸主に家賃を立替え払いし、
4.後日、保証会社が借主に立て替えた金額を求償する

という仕組みで運営されている。

家賃債務保証サービスをめぐっては、連帯保証人の依頼が難しくなっているなかで、借主の信用を補完することによって住居を確保しやすくする役割を果たしているという評価がある一方、立て替えた家賃金額の取立てのために、保証会社による執拗な督促、無断での鍵の交換や室内への侵入などの不適切な行為がみられるという批判もある。

家賃保証会社

賃貸住宅の賃借人が負う家賃支払債務について、連帯して保証する会社。

家賃保証会社の連帯保証責任は賃借人との保証委託契約によって成立する。委託契約の締結に当たっては、家賃保証会社が賃借人の家賃支払能力等について審査するのが通例である。


契約が成立すれば、賃借人は保証料を支払い、家賃保証会社は、賃借人が家賃支払債務に関して不履行が生じた場合に賃借人に代わって代位弁済する。この場合、代位弁済した家賃保証会社は賃借人に対する求償権を得ることとなる。

家賃保証は、従来、連帯保証人によることが多かったが、保証人に予期しない負担を負わせる可能性があること、保証人を依頼することが難しいことなどから、それに代わって、家賃保証を業務とする営業(保証ビジネス)が広まった。

家賃保証会社は、賃貸人の債務負担能力の審査、代位弁済した家賃の求償などを担うことから、健全な業務運営を確保し、賃借人の利益を保護する必要がある。そこで、国土交通省は、家賃保証会社が登録するしくみ(家賃債務保証業者登録制度)を創設した(2017年10月)。この制度によって、登録した家賃保証会社は、保証業務の実施に当たって、契約前の重要な事項に関する説明・書面交付、賃借人毎の弁済履歴を記録した帳簿の備付け、受領した家賃等についての自己の財産との分別管理、暴力団員等への求償権の譲渡等の禁止などのルールを遵守しなければならないとされている。

ら行

ライフライン

都市機能を維持し日常生活を営むために必須の設備をいう。

電気・ガス・水道等、通信設備、人の移動・物流手段などがこれに当たる。大きな自然災害が発生した場合に、被災者の生活を支えるために最優先で確保すべき設備であるとされ、阪神・淡路大震災以降、よく使用されるようになった言葉である。

ランニングコスト

不動産などの資産を維持管理するために必要な費用。英語のrunning cost。電気料金等、点検費、清掃・補修費など継続的に必要な費用のほか、大規模修繕費など定期的に発生する費用を含むコストである。

ランニングコストは、資産を維持するために必要不可欠な費用であるから、資産の保有に当たって十分に確認しなければならない。

なお、ランニングコストに対して、資産を保有する際に一回限り負担する買収費や手続き費用を「イニシャルコスト」という。

わ行

ワークライフバランス

ライフスタイルやライフサイクルに応じて、仕事の責任を果たしつつ、多様な生き方が可能となる状態をいう。

仕事と私生活のバランスを確保できるように労働時間を編成する仕組みが必要で、そのような仕組みの構築をめざす政策がワークライフバランス政策である。「仕事と生活の調和」と訳されることがある。

ワークライフバランスを実現することは、

1.男女均等の確保(育児休業、父親の出産休暇などがこれに該当)
2.パートタイム労働の待遇改善(働く形態によって差別されない)
3.ライフサイクルに応じた労働時間の適切な編成
4.女性や高齢者の就業率の向上
5.福祉受給者の労働市場への参加(メイク・ワーク・ペイ)
6.出生率の向上
7.就業モチベーションの向上や就業能力開発の機会拡大

など、多面的な課題への対応に資すると考えられている。

なお、政府は、仕事と生活の調和推進官民トップ会議(関係閣僚、経済界・労働界・地方公共団体の代表等で構成)において、「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」および「仕事と生活の調和推進のための行動指針」を合意している(2007(平成19)年12月、その後、2010(平成22)年6月に再合意)。

「仕事と生活の調和推進のための行動指針」は、ワークライフバランスが実現するための条件として、

1.就労による経済的自立が可能な社会
2.健康で豊かな生活のための時間が確保できる社会
3.多様な働き方・行き方が選択できる社会

の3つを挙げたうえで、具体的な取組み内容を列挙し、その進捗状況を把握・評価するために、数値目標および「仕事と生活の調和」実現度指標を定めている。

ワーケーション

通常の職場とは異なる場所で余暇を楽しみつつ仕事をすること。英語のwork(仕事)とvacation(休暇)とを組み合わせた和製英語である。

ワーケーションを行なう場所は、観光地、リゾート地などが選ばれることが多く、滞在中に、テレワークリモートワークによって業務を実施する。

ワーケーションは、働く人が自由に選択する場合のほか、福利厚生や有給休暇と組み合わせて実施される場合、業務効果(リフレッシュ、非日常的な刺激、人的交流など)を期待して実施される場合など、業務と関連づけたタイプもある。